本坪鈴

 先日、拝殿にて祭典の準備をしていたところ、県外からの旅行客のご夫婦に話しかけられました。

 「こちらの神社には鈴が無いのですか?」

 拝殿前に吊られている鈴を「本坪鈴」といいますが、映画やドラマの拝殿前のシーンでは必ずと言って良いほどこの鈴が吊られています。私自身も県外で育っている為、子供の頃から神社には鈴が付きものという感覚でした。その為、奉職したての頃、本坪鈴がない事に少し違和感を感じたのを思い出しました。

 確かに、当社もそうですが、出雲地方の神社には本坪鈴が吊られている神社はとても少ないのです。

 本坪鈴が広く普及したのは戦後から高度成長期にかけてであり、神社の歴史から考えると、ごく最近のことなのですが、鈴を鳴らして拝礼するといった流れが当り前の事として身についている方には、物足りなさを感じるかもしれません。

 実は、当社にも倉庫内には本坪鈴があり、拝殿前に吊るす事を検討した事があるのですが、結局諦めることとなりました。

 それは、出雲地方の神社では大注連縄をつける風習があり、一般的な拝殿の作りでは賽銭箱の前に本坪鈴を吊るすスペースが無くなってしまうのです。賽銭箱を移動すると拝礼の流れを阻害してしまいますし、かといって大注連縄を外すわけにも行かない為、出雲地方の神社には本坪鈴を吊るしている神社が少ないのだと思われます。


賽銭箱を移動し、本坪鈴を吊っている様子と出雲地方に多い大注連縄

日吉神社

(出雲) 〒693-0001 島根県出雲市今市町1765番地  TEL 0853-24-2050 FAX 0853-21-3254 E-mail hiyoshijinja.izumo@gmail.com <URL> https://hiyoshijinja.amebaownd.com

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