佐香神社(松尾神社)
出雲市今市町の日吉神社は14世紀に近江出身の塩冶氏が日吉大社から勧請したと推測され、主祭神は大国主神と大山咋神です。
境内摂社に昭和17年に今市の酒蔵から奉納されたと推測される酒神の松尾社があります。京都の松尾大社(祭神:大山咋神(素戔嗚尊の孫とされる)は酒神とされ、日吉大社と関係が深いと考えられています。
平成二十九年より小林祥泰総代会長の立案にて、平田の松尾神社(佐香神社)で室町時代から続く濁酒祭に合わせて、酒神大山咋神と医薬の神でもある大国主神を本社と摂社で祀る日吉神社でも、松尾社祭が執り行われています。
佐香神社(松尾神社)
松尾神社(佐香神社)御由緒略記
鎮座地 島根県出雲市小境町一〇八番地清水
神社名 延長五年(九二七)撰進された延喜式には、佐香神社とあり。くだりて、寛文八年(一六六八)に建立された棟札には松尾大明神とある。ともに、現在の松尾神社(佐香神社)のことである。
主祭神 久斯之神 大山咋命
配祀神 天津彦彦火瓊瓊杵尊 木花咲耶姫之命 百八十神等
御由緒
出雲国風土記(天平五年二月)に、「佐香郷。都家の正東四里一百六十歩なり。佐香の河内に百八十神等集い坐して、御厨立て給いて、酒を醸させ給いき。即ち百八十日喜讌して解散坐しき。故、佐香という。」とある。
現在、当神社が鎮座されている小境は、出雲国風土記の「佐香」が転訛して、「古佐香井・古酒井・古酒恵・濃酒井」となったものといわれている。
主祭神の「久斯之神」は、いわゆる、「薬師の神」であり、さらに、出雲国風土記の古事にあるように、「酒造の神」でもある。また、「醸す」とは、ただに、酒を醸造することのみでなく、醤油・米酢・味噌等を醸造することでもある。
一方、大山咋命は、世に言う「山を護る神様」で、森林業、鉱山業の守護神である。
そして、配祀神である天津彦彦火瓊瓊杵尊は、「海を護る神様」で、漁撈豊漁の神であるとともに、海上運航安全の神として広くあがめまつられている。
木花咲耶姫之命は、縁結びの神であり、安産の神である。
社殿の造営には、古来より、国造・国主の命によってなされており、国造・国主はもちろんのこと、藩主松平公ならびに、巡見使等、ことのほか崇敬されていた。これは、現在、社宝とされている鎧一領および文箱一式が、松平家より奉納されていることでもうかがわれる。
十月十三日は秋季大祭である。この日を前後して、翌年二月ごろまで、酒造りの「杜氏」ならびに、各種醸造の関係者の参拝はあとを絶たない。しかも中国5県は言うに及ばず、遠く四国・九州・神戸の灘地域からも参詣され、御霊験はますますあらたかである。
明治29年11月19日付、勅令第287号酒造税法施行規則第45条に依り、「濁酒年一石以下無税」の許可を得て今日にいたり、大祭当日は、一般参拝者一同、この神酒を戴いて、家内安全、五穀豊穣を祈るのである。
佐香川の清き流れを汲む人は世にもまれなる酒醸すらん(千家尊紀)
千代八千代神世ながらに佐香の山ふるきみ山を仰ぐ尊さ(北島全孝)
日吉神社拝殿前の扁額は、上の歌を詠まれた従三位男爵 北島全孝(きたじまたけのり:出雲国造第75世、御杖代、通称 神 健彦)氏に揮毫頂いております。
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