稲荷神社と狐

 稲荷神社は、京都の伏見稲荷大社を総本社とし、全国に主祭神としてお祀りする神社だけでも約3,000社、摂社、末社等含めると、その数は優に3万社を超えるといわれています。

 江戸時代の物の数が多い例えとして使われる、「伊勢屋*、稲荷に、犬の糞」というフレーズからも、昔から広く民衆の身近な存在で有ったことがうかがえます。

(*江戸時代初期、商家の半数近くは伊勢の称号を付けていた云われていた。)

 伏見稲荷大社をはじめ、多くの稲荷神社には、主祭神として宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)がお祀りされています。一般に「お稲荷さん」の名で親しまれ、商売繁盛の神として厚く信仰されています。

 名前の「ウカ」は穀物・食物の意味とされ、本来は穀物の神とされ、記紀には性別を判別できる記述は無いのですが、古くから女神であるとされています。

 宇迦之御魂神は、宇迦之御魂大神、宇賀御魂、倉稲魂命、稲荷神、お稲荷さん、倉稲魂、倉稲魂命、大物忌などとも呼ばれ、元々は渡来系の氏族・秦氏が、自分たちの氏神として祀った農耕神であったといわれています。

(古事記によると、須佐之男命と神大市比売命の御子として、兄の大年神とともに生まれたと記され、日本書紀では、国生みに際して伊邪那美神(イザナミ)から生まれた粟島と同じ神とされています。)

 お稲荷さんというと、狛犬の代わりに狐が置かれている事が多いので、狐を連想する方も多いと思われますが、狐は稲荷神そのものでは無く、稲荷神の神使(眷属)です。

 狐が宇迦之御魂神の神使(眷属)となった理由には諸説あるようですが、宇迦之御魂神の穀物神としての別名・御饌津神(ミケツノカミ)が、狐の古名である「ケツ、ケツネ」に音が通じ、さらに「三狐神」と当て字したのが発端と考えられています。

 

 日吉神社の境内社である稲荷神社の裏手には、「やってさん」と呼ばれる狐の置物が並んでいる場所があります。

 こちらに並ぶ沢山の置物は、商売繁盛等の祈願に来られた方々が、一対の置物を持ち帰り、祈願成就の暁には、持ち帰った置物とともに新しい置物を一対添えてお返し(倍返し)するという慣わしにより、徐々に増えていったものです。

 古い置物に混じって真新しい置物が所々置かれている光景を拝見すると、この上なく喜ばしい気持ちになれます。

 時折、狐の置物についてお問い合わせ頂きますが、当社社務所ではお取扱いしておりません。

 *今市町内の陶器店にてお取扱いされていました。

日吉神社

(出雲) 〒693-0001 島根県出雲市今市町1765番地  TEL 0853-24-2050 FAX 0853-21-3254 E-mail hiyoshijinja.izumo@gmail.com <URL> https://hiyoshijinja.amebaownd.com

0コメント

  • 1000 / 1000